草木染紬着物『果ての岬』
Kimono “Finisterre”, Pongee Weaving
藍、臭木、刈安、玉葱、烏野豌豆、矢車附子、梔子
2021
星の巡礼路の終着地、大聖堂の先にスペイン語でFinisterre”地の果て”と名付けられた岬がある。かつて巡礼を終えた人々はその岬で杖を、衣服を、担いできた荷をすべて燃やし、過去と決別することでふたたび新しい生を生きたのだという。
わたしが巡礼の旅を終え、その岬に辿りついたのは、きんいろの花が崖一面を染めあげる春の日だった。
いまや、心象風景と溶け合い、私にとってさいはてとなったその岬のために、一篇の詩を書き、その詩に捧げる一枚の着物を織った。刈安や玉葱で黄金色の岬を、さまざまな深さの藍で海を、遠くからやってくる雨雲を桜や蓬の鉄媒染で、ぼんやりひかる雨の中の岬を思い浮かべながら織りすすめた。